作品紹介

こどもたちの笑顔 私たちの微笑み
 みんなみんなあつまって さあ劇を観よう

「らくりんの花」作詞・作曲 上野哲生

ゆきと鬼んべ

人間にかなしみがあるかぎり

自然もまた
涙をからすことはない─

作・脚色 さねとうあきら
演出   印南貞人
美術   松下 朗
音楽   上野哲生
照明   石田道彦

[上演時間] 90分(途中休憩10分間含む)

あらすじ

 山は三年越しの日照り続き。農作物も、草木も、人間も、すべての生き物がひどい目にあっていた。猟師のお父と二人でくらすゆきは生まれながら目がみえない。

 ある日、いたずら好きで弱虫の「鬼んべ」と天狗の「小太郎」に出会ったゆきは思いがけず日照りのわけを知ることになる。

 山や里に生きるすべての命を救うため、危険もかえりみず、たった一人でお山の主「竜神」のもとへ向かうゆき…

 一方、ゆきを救いだしたい鬼んべはおそろしい山んばから竜神を退治する以外に方法はないと教えられる。ありったけの勇気をふりしぼって竜神に立ち向かう鬼んべを待つ意外な真実とは…

 親子の情愛、友情、本当の勇気と思いやりの心、大自然をつかさどる精霊の宿命、生まれ変わる世界…壮大なテーマを盛り込んで、ロシア・オムスクでの公演でも好評を博した大作。

 作者より 

ぼくは生きることについて語っているのだ

作・脚色:さねとうあきら

 この劇を書いたのは、1960年代の後半、「高度経済成長」のかけ声とともに、めまぐるしく日本が変容していく時代でした。
 物質的繁栄とひきかえに、山はけずりとられ、海岸線は埋め立てられ、川はどす黒く汚染され、山紫水明とうたわれた日本の自然が、みるかげもなく破壊しつくされていきました。
 それは、人間が豊かにくらすための「神聖な行為」としてもてはやされていました。
 でも、山が丸裸にされたとき、そこに住むけものや鳥たちの運命はどうなるのか、それを思うとぼくの心は暗くなりました。

 砂浜がコンクリートで塗りかためられて水鳥も住めなくなった渚は、ぼくたち人間にとっても死の世界ではないのか。
 もしも人間もまた自然の一部と考えるならば、自然が窒息死して、はたしてぼくらも安らかな生を満喫できるのか。
 そういう思いが、ぼくに一遍の戯曲を書かせる動機となりました。
 しかし、この作品が発表された当初は、「何をいっているのか、さっぱりわけがわからん」「親殺しを扱った暗い作品だ」等々、批判的な意見ばかりが寄せられて、ぼくの心をいっそう暗くさせました。
 人間は、どこまで自己中心にできているのだろうと、絶望的にすらなりました。
 ぼくはそのころも今も、生きることについて考え、生命とはどういうものか、そのことだけを語りつづけてきたのですから。
 幸いなことに(もしかすると、不幸なことかもしれませんが)、自然の側から人間をみつめなおすことが、公害や環境破壊の極に立つ現代社会の最重要の課題となり、ぼくの劇の上演回数も飛躍的に増えてきました。
 このたびらくりん座の皆さんによって舞台にのせていただくことになりましたが、専ら生きることについて語りつづけたぼくの願いが、多くの子どもたち、それから子どもたちの未来を案ずる大人たちに、どのように受けとめられるか、たのしみでもあり不安でもあります。
 人間を含めた全ての生きとし生けるものにふり注がれた大自然の熱い眼差しに触れたとき、はじめて自然への愛もよみがえるであろうと、奇蹟にも似た出会いを信じて、ぼくはこの劇の成功を祈っています。

(1984.9.25初演時の寄稿文より)

お手紙・ご感想

ゆきは目が見えなくても心の目ですべてが見えるということにゆきの意志の強さが伝わってきました。
鬼んべはゆきを助けてあげるという強い意志でおっかない竜をじゅうでたおしたのは鬼んべのやさしさがわかるシーンでした。
これからもがんばってください。

【栃木県那須塩原市 小学六年生】

劇の内容も、生命の尊さも、人の役に立ちたいゆきの心が分かりやすく演じられていました。
人間だけでなく、生きているもの全て、植物も竜神様も皆な同じ命を持っている事。喜びも、悲しみも共に分かち合って生きることの大切さを感じることができました。
子どもたちは今は深いところがわからなくても心の奥にしみて、大人になったらあたたかい心を思い出してくれると思います。

 【60代 女性】

ゆきの勇気と強い心にとても感動しました。
いろいろな予想ができない展開で、心にグッとくるお話でした。ゆきはとても優しくて自分の命はなくなってもいいと言えるところがすごいなと思いました。ゆきとりゅうじんが話している場面やりゅうじんが鬼んべに鉄砲でうたれてしまう場面などが1番心にひびきました。
ゆきは強い心をもっていて、とても優しいので私もそんなふうになれたらいいなと思いました。とても心が動かされるお話でした。

 【栃木県宇都宮市 小学六年生】

私はこの「ゆきと鬼んべ」で1番よく思ったことは「命の大切さ」ということです。
私はこのえんげきで「命の大切さ」はとてもすごいものだと思いました。

 【栃木県宇都宮市 小学四年生】

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